要注意! 「いかがいたしますか?」は間違った敬語

さて、突然ですがクイズです。
美容室でお客さんに聞く時、どちらが正しい言い方でしょうか。

  1. 本日はいかがいたしますか?
  2. 本日はいかがなさいますか?

美容室に行くと、美容師さんから必ず聞かれるフレーズです。カットにするのか、パーマにするのかなど、施術の内容を聞かれる質問です。

どれもよく言いそうな言い回しですよね。「いかが」と使うと丁寧な感じがします。

でも、正しいのはたった1つだけ。正解は…2番です。

2番は「なさいますか」という言葉を使っています。なぜ「いたしますか」ではなく、「なさいますか」が正しいのでしょうか。

 

謙譲語とその他の敬語

敬語には、謙譲語とその他の敬語があります。実は、敬語は現在なんと5種類にも分類されています(尊敬語・謙譲語Ⅰ・謙譲語Ⅱ・丁寧語・美化語)。今はそれぞれについて説明をしているとややこしくなるので、また次の機会にゆずりますね。

5つのうち、謙譲語はざっくりと言うと自分の立場を低くして相手を立てる敬語です。それに対して尊敬語や丁寧語は、丁寧な表現をしつつ相手への敬意も表すという敬語です。

謙譲語には、以下のような種類があります。( )内はその意味です。

  • いたす(する)
  • 申す(言う)
  • 参る(行く)
  • 存じる(知る・知っている)
  • おる(いる)

他にもたくさんありますが、代表的なのはこんなところです。ちょっと時代劇に出てきそうな言い回しですね。上記はすべて、自分の行為などを伝える時に相手を敬う表現です。

「いたす」「いたします」は自分の行為や思いを指す言葉

「いたす」は自分側を低めて相手側を立てる言い方なので、相手側の行為や動作などに使うのは間違った使い方です。たとえば、相手に飲み物を飲むかどうか聞く時、「何かお飲みいたしますか?」とは聞きませんよね。正しくは「何かお飲みになりますか?」となります。

ちなみに、丁寧語は語尾に「〜です・ます」をつけて丁寧に言う敬語です。「いたす」を丁寧語にすると「いたします」となりますよね。

  • それは私がいたします(自分が何かをする)
  • お願いいたします(自分が相手にお願いする)
  • 承知いたしました(自分がわかったと伝える)

 

以前、どこかで「敬語の使い方に困った時はとりあえず『いたします』をつければOKという文章を見かけたことがあります。

しかし、これは半分合っていて半分間違いです。自分の行為や思いを相手に伝える際にはOKですが、相手の行為や思いに対して謙譲語を使ってしまうと、相手に失礼になってしまうからです。

冒頭のクイズも、相手の行為に対して「いたしますか」と聞いてしまっていますよね。では、これはどうでしょうか。

  1. 本日はどのようにいたしましょうか?
  2. 本日はどういたしましょうか?

正解は、両方◯です。

どちらも相手に聞いていることには変わりありませんが、「〜ましょうか?」がつくことで、自分がする行為を聞いていることが分かります。平たく言うと、「今日は(私は)どのようにするのがいいですか?」と相手に聞いている形です。

むむむ、日本語って普段は何気なく使っているけれど、けっこう難しいですよね。でも、ビジネスの場での会話やメールの文章などで「いたす」の使い分けが出来ると、一段上の出来る人に見られますよ。

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