あなたは「頷く」をひらがなで、どう書きますか?
今回は、最近ちょっと気になった、ワード変換についてのお話をしようと思います。
ワード機能というものは、実に便利で賢いものです。
間違った言い回しをすれば青い二重線で教えてくれるし、接続詞などが間違っていれば赤のなみ線で警告してくれます。
実際、推敲するときにはコレを頼りにされている人も多いんじゃないでしょうか。
ただし、賢すぎるゆえに困ったことも起こってきます。
それが、漢字変換の機能。
ワードやスマホで文章を打ち込んでいると、勝手に予測して漢字変換してってくれるのが普通になっている私達。
自分で漢字を書く機会が少なくなり、「漢字が書けなくなってきちゃった」問題は、もうかなり前から言われていることです。
それとともに、最近個人的に特に気になっているのが「違うひらがなでも予測して変換してくれちゃう」機能です。
たとえば日本人が首を縦に振ってYesを表明する動作、「頷く」。
これ、「す」に点々と書きますか?
それとも「つ」に点々?
漢字に変換しちゃえば間違ったとしても問題ないんですが、ひらがな表記にしようとした時、軽く立ち止まりませんか?
「うなずく」と「うなづく」どっちかな? って。
ちなみに、正解は「うなずく」です。
由来は項(うなじ)を突くという動作から来ているということです。
うなじを後ろから突くと、確かに首がかくんと前に倒れますよね(うなじ突くだから「つ」に点々じゃないのかな? とも思いますが)。
また、「頷く」という漢字にはオトガイ(下あご)という意味もあり、あごを引き下げて同意を示すという意味もあるそうです。参照:goo国語辞典、語源由来辞典
それから似たようなものでもうひとつあるのが、「躓く」。
つま先になにかが引っかかって、身体がバランスを失う時などに使う漢字ですが、これも「つまずく」なんですよね。
由来は「けつまずく(蹴る+つまずく)」だそうで、これも「爪を突く」から来ている説もあり、なんで「ず」が採用されてるの? と謎です。
調べた結果、この謎の答えは「ず」が歴史的仮名遣いだから、ということです。
昔からの学校教育では、多分「うなずく」「つまずく」と習ったのではないでしょうか。
小説を読んでたって、昔の小説家の書いたものは「ず」だったんだと思います。
それに対して、「づ」は現代仮名遣い。
だから、よく調べてみると「どちらも可」ってなってるんですよね。
それでワードで変換するときは、「うなずく」でも「うなづく」でも変換されるというわけなんです。
「なぁんだ、どっちも正解なんじゃ〜ん」と思いたくなりますが、今のところは「ず」を使う人口の割合が多いので、一般的には「ず」がしっくりくるという解釈です。
今後は若い世代から「うなづく」「つまづく」派の人が増えてきて、そのうち国語審議会でもひっくり返るかもしれないですね。